2010年2月23日火曜日

杣添尾根から赤岳

2月10日 11日  中三川 晃利 個人山行



一度、雪の稜線でテントを張って泊まりたかった。
2月10日  早朝足利を出て、佐久から小海に向かい、八ケ岳高原の登山者用駐車場に着いた。2時間半で着く。



7時30分  歩き始める。天候は曇り。登山口に登山計画書を提出。ここは別荘地の中で、除雪された車道はあるが、私道であるため、海ノ口自然歩道を歩くことになる。トレースがなく、スノーシューをつけても膝までもぐる。途中で道がわからなくなり登りすぎてしまい、八ケ岳林道をかなり下った。



8時30分  横岳登山口に着いた。標高は既に1785m ある。
ここから、わずかにトレースがあったが、雪が腐り、スノーシューでも時々もぐる。
木に巻かれた赤いテープを頼りに、樹林帯の中をゆっくり登った。
尾根の初めは傾斜が強いが、2000mを超えるとゆったりした登りが続く。2200m付近でトレースはなくなる。
霧雨、スノーシューがよく効いてくれるが、湿気を含んだ雪が付着してすごく重る。2500m付近に鞍部があり、テントサイトに考えていたが、潅木が消える手前まで登ることにした。
12時   標高2600m。小雨~みぞれ、北風を予想して、尾根の南に少し下り、2本の潅木の間にテントを張った。飛ばされないよう張り綱を木に巻きつけた。
本格的なみぞれ混じりの雨となり、テントから一歩も出られない。
風の音、霰がテントを打つ音に耳を傾け、自然を満喫しようと努めたが、退屈極まりなかった。ラジオ第一放送の単調なしゃべりが救いになった。
天気予報は、明日午前中は曇り、午後は雨から雪。



2月11日 4時  起床。シュラフを畳んでラーメンで朝食を済ませる。
濃い霧の中、テントは畳まずに、アイゼンを着けて登り始める。
一本尾根なので、道に迷うことはない。
高度を上げるに従い、風が強まり、雪が締まる。三叉峰直下の急な登りはアイゼンが効いて心地よい。
6時47分  赤岳と横岳を結ぶ稜線上のピーク三叉峰にでる。天候が悪いので、先に進むかどうかしばらく迷ったが、もうチャンスはないと思い、赤岳方面に向かう。
梯子が2箇所、鎖やロープがいたるところに設けてあり、ルートは判りやすい。雪は風に飛ばされて少ない。岩には海老の尻尾がびっちりガチガチにこびり付いている。アイゼンの歯がしっかり決まるので急な岩場でもあまり恐怖を感じない。何度がルートを間違えたが、
7時30分  地蔵尾根との合流点に辿り着く。
地蔵の顔は西風をまともに受け、氷が厚くこびりついていた。
ピッケルで削ってみたが、とても硬く、顔を傷つけるといけないので途中でやめた。地蔵尾根は急峻だ。行者小屋にテント一張り。
7時45分  赤岳展望荘。人のぬくもりを感じてホットするが、中には入らず、風を避けて休憩。生姜湯を飲む。
視界が悪く、強風で立ち止まることはあったが、赤岳への登りは、ルートも判りやすく、アイゼンとピッケルがきまり、もう間違いなく頂上に立てるという思いで胸が高鳴った。
8時15分   赤岳山頂、木の標識には海老の尻尾が発達して付着し、雪と氷の世界だ。雲の切れ目から垣間見た文三郎尾根はかなり急峻であった。
タバコを一服し直ぐ下山を開始した。
岩稜を歩く中、鉾岳の登りで一度ルートを見失い、雪の急斜面を何度も登り返すはめになった。地図で方向を確認すると、岩を迂回したときに全く反対方向を向いていたのだ。細かいルートを確認する時、GPSはどうも使いこなせない。
9時30分 三叉峰に辿り着く。すこしバテたが、あとは下りだ。雪、風、強くなった。
コンパスで方向を確認しながら、下山。
10時  テント地に着く。テントを畳み、アイゼンをスノーシューに履き替えて真っ白な稜線を下る。
久しぶりにスノーシューが役に立った。急な斜面では踵が抜けて滑ってしまう。
樹林帯に入ると、本当に静かだ。雨が本降りになった。
結局、昨日から誰にも会わなかった。
13時  無事、駐車場に辿り着く。一部路面が凍結していたが、佐久までの道と高速道路は閑散としていた。途中、鹿の湯で温まる。ここも一人で、いいお湯を独占させて頂いた。