- 2009 12月12日 13日
越後駒ケ岳、 参加者 中三川 晃利 単独
11月22日の連休、テントと食料を背負って越後駒ケ岳に出かけただが、下山するパーティーに「今日は誰も登っていないと」と教えられ、闇夜で一人テントを張って過ごすのが怖くて、1400m地点から、一緒に下山してしまった。(駒ケ岳の写真はこの時撮影した。)
今回はそのリベンジである。新潟の天気予報は12日雨、13日は曇り。
「本格的な雪が降る前なら登れるかも」と、12日夜、テントと食料を車に投げ込んで、駒の湯まで車を走らせた。
新潟は雨、気温は6℃。厳冬期には大湯から駒の湯まで数時間のラッセルとなるが、この日は雪なし。足利から2.5時間。明日は曇りの予報を信じて、駒の湯手前の駐車場にテントを張り、焼き鳥と寿司で夕食を済ませてシュラフにもぐり込む。熊が寄ってこないように、食器とゴミは車のトランクにしっかり片付けた。
13日 4:00AM 起床、雨はやんでいる。うどんとおにぎりで朝食。コーヒーをテルモスに、テントを畳んで5:30AM ヘッドランプの灯りを頼りに歩き始める。
気温は高目、枝や葉の雨露で濡れるので、厚手の下着の上に直接ハードシェルを着た。
渡り板一枚を繋げた吊橋が出発点だ。落ち葉で埋まった急坂を登る。真っ暗、振り返ると大湯温泉の明かりが見える。1時間ほど歩くと、ヘッドランプがいらなくなった。
1000m付近から所々雪が出てくる。高曇りを期待していたが、厚い雲が低く垂れ込めていて、稜線は全く見えない。木々の枝は細かな氷をつけて、景色は真っ白だ。
地図ではなだらかな尾根に見えるが、息の切れる急坂が続く。
8;37AM 小倉山 1378m。積雪 20cm 風わずか。視界は100mぐらいしかないが、少ない雪、風雪なしのコンディション、しめた!と思う。
一旦軽く下った後、なだらかな登りが続く。潅木滞に道がしっかりついていて、迷うことはない。小倉山からは雪道となり、所々膝までもぐる。ワカンをつけようと小休止していたら、学生7人のパーティーが賑やかに降りてきた。昨日の土砂降りの中を登り、駒の小屋宿泊、今日山頂を踏んで下山してきたという。若い人たちは元気で、楽しそうだ。この先、彼らが残したトレースのおかげでワカンは不要となった。
9:36AM 百草の池 しばらくなだらかな登りがつづくが、潅木の枝が道を遮り、歩きにくい。
潅木の樹林帯を抜けると、急な雪面の登りとなる。夏道はツヅラ折になるのだろうが、今は直登できつい。凍った硬い雪の上に新雪が10cmほど、滑るのでアイゼンを着けた。
ハードシェルの下にフリースのシャツを着る。無風に近く、ガスはますます濃くなった。視界は50m以下だと思う。
ナイフリジイがあり、四つ這いになるような急な斜面を登りきると、10:44AM、駒の小屋が現れた。小さいながら木造の端正な小屋だ。水滴が凍りついて、砂糖菓子のようになっている。冬は2階のドアから入るが、雪が少なく、鉄塔をよじ登らなければならない。窓からはきちんと光が入る。
小屋以外は何も無い雪面となり、視界が悪くなってきたので、かすかに残るアイゼンの爪跡が消えないうちにと、休憩をとらず、頂上に向かう。
自分の周りは白一色で平衡感覚がおかしくなる。
一本の赤旗が残されていて、すごく安心する。
11:00AM 小さな杭がぽつんとあって、駒ケ岳山頂と書いてあった。風はない。
風はない。寒く無い。何にも見えない。
写真だけ撮って、下山。アイゼンの爪瘢を目を凝らして追いつつ、小屋まで戻ると、ほっとした。
小屋の下はクラストした急な斜面なので、小屋でも休憩は取らず、安全なところまで急いで下降する。
ナイフリッジを渡るところで、わずかに雲の切れ目ができて、岩が露出した中ノ岳の稜線と荒々しい岩の斜面が見えた。
1時間ほど下ると、雲の下に出た。小倉山までが遠く見える。急に疲れを感じた。
小倉山からは、濡れた岩とぬかるんだ土に足を取られながら、急な斜面を降りた。
14:30 駐車場に辿り着く。
大湯の共同浴場でゆっくり汗を流し、足利まで2時間30分で着いた。
この2日後、新潟は12月としては25年ぶりの大雪に見舞われた。越後駒は、体力のあるパーティーが何日ラッセルしてもなかなかたどり着けない豪雪に覆われていることあろう。
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